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2006 06,10 10:00 |
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ハムレット ゴーズ ビジネス / マッチ工場の少女
出演: ビデオメーカー 発売日 2002-05-24 オススメ度:★★★★ 夢みる少女じゃいられない♪ 2005-05-29 「彼らは遠くの森の奥で飢え凍えて死んだのだ、そのように思えます。」(ガロン伯爵夫人『アンジェリク』の一節より)※『アンジェリク』は、ルイ14世治下の17世紀フランスを舞台に、貧乏貴族の娘アンジェリクが王権と宗教の力に屈せず、波瀾の人生を強く、華やかに生きぬく姿を描いた物語、原作は世界27カ国5000万人が読み、日本でも小説・漫画・宝塚歌劇団で公演されるなどした。 上記一節の引用後、延々とマッチの製作工程(共産主義への隠喩としてか?)が流れます。主人公はマッチ工場で働く「不幸」な娘イリス。両親と場末の古ぼけたアパートに住み、家に帰れば家賃をせびられ、売春婦と罵られる毎日。誕生日に母親からもらうプレゼントは決まって『アンジェリク』の古本一冊だけ。彼女が現実を忘れることができるのは、束の間に小説を読むときだけ。彼女はアンジェリクに憧れる「夢みる少女」でした。 周囲の冷たく無関心な人々。そして、ただ一度だけ好意を持った男からむごい仕打ちを受けたことをきっかけに、彼女の中で何かが芽生えます。それは、両親と同居するアパートを出る際、母からもらった『アンジェリク』を置いていく場面に象徴的に描かれますが、それと引替えに彼女は夢を叶えます。冒頭の予言「彼らは遠くの森の奥で飢え凍えて死んだのだ・・・」その言葉通りに。 彼女の不幸は停まることを知りませんが、大袈裟に嘆いたりせず、淡々と描いていくところに監督のどこか温かい眼差しを感じます。仕事に情熱を持つわけでも、将来に夢を描くわけでもなく、寡黙に翻弄されていく様に不思議なユーモアが溢れています。天安門事件ニュース映像のしつこいまでの挿入は「夢みる少女」からの決別へのメタファーでもあります。もっとも、中国はいまだ夢をみつづけようとようとしているようですが。極北の片隅でささやかな幸福さえも得られない人々をアイロニカルに描いたアキ・カウリスマキの代表作。 さらに詳しい情報はコチラ≫ PR |
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